新たなるすたーとの、それ。

第5話:ここはどこ?まじかよ!

 ――気がつくと、浜辺にいた。


 重い腰を上げ辺りを見渡すと、そこは! ……分からない。

 どこだここ。なにもない。人いない。木しかない。それに、体調悪くない。


「電撃。強度3」

 地面に魔法を放つも普通に出た。

「分からない。どこなんだ」


 意味がわからないので、とりあえず人を探すことにした。


 *****

 しばらく歩くと、森の中に酒場のようなものを見つけた。

 そしてきしむドアを開け、入ってみると、


「いらっしゃい」

 と、特徴的な耳を持つ人が迎えてくれた。


「あ、あの……?」


「見ない顔だ。どこから来たのかな?」

 ワインのグラスを磨きながら問う。


「わかりません。自分でもどうしてここにいるか」


「ほう。それは興味深い。ぜひ話を」

 男の人は、空いた席を示し私を座らせると…


「飲みなさい」

 と言って、グラスを差し出した。

「えーとっ、私お酒飲めないし、第一お金持っていないし……」

 私は、せっかくの好意を踏みにじるようで申し訳なかったが、お断りした。


「いや良いよ。面白い話を聞かせてくれたら。それにこれは、インゴを絞ったジュースだ。」

 そう言うと、


「で、どこから来たのかな?」

 男の人は再び問う。


「えーっと、エルソラーナです」

 私は、自分の国の名前を言った。

 すると、近くに座っていたおじさんが振り向き…


「エルソラーナだってぇぇぇ!」


「お客さん、知っておられるんですか?」


「当たりめぇだ! エルソラーナつったら、一ヶ月前にムードリアに支配されたばかりの国じゃねぇか! いくら最東の大陸の国だからって商人ならしってらぁ!!」

 それってあの水晶に写っていた……。本当だった? わからない。頭が全く追いつかない。私が、あの人達の人生を……平和を……? 

 奪った……?

 私は現実受け入れず少し取り乱した。男の人が出してくれた少し苦くて温かい飲み物を飲んで落ち着き……

 男の人はそれを確認した後、再び問う。


「一旦情報を整理しましょう。えーっと、名前は…?」


唯愛イアです。」


「じゃあ、イア君は、そしてエルソラーナには何があったんだい?」


「それは……」


 私は、何があったのか、一部始終を話した。涙が出る。悲しい。いや、罪悪感? 

 恐怖?


「まあ少し落ち着け。あんたが魔王なのか……?」


「はい」


「話から推測するに、君は気を失ったあと海に流され、運良くここへ漂流したというわけだ」

 男の人は、顎に手を当てながら難しい顔で言う。


「うーん。確かにそう考えるのが自然かぁ」

 おじさんはそれに賛同し、私に言った。


「嬢ちゃん。ひとまずそういうことだ。だけど嬢ちゃんは生きている。だったら金がいる。そこでだ! 嬢ちゃん魔王だったつぅんなら俺の護衛として、旅についてこないか? 衣食住は保証する」

 少し抵抗はある。しかし今はこの意味のわからない状況をどうにか理解しなければならない。魔王として。私の失敗をぬぐうため今の私にはそれしか……。


 私は、少しの沈黙の後答えた。


「宜しくおねがいします」


 正直、戸惑ったが今はこれ以外に有力な策はない。

 とりあえず、ついていこう。

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