新宿の地は昔も今も変わらない。綺麗とは対局にある人情の泉源です。

3エピソードなので、起承転で終わりつつ、結は読者の脳裏に押し込みました。みたいな作品。余韻が残りますわ。
尻切れ蜻蛉みたいは不満は抱きませんね。読了後も真相は藪の中なんですが、しっとりとした本作品の世界観にドップリ浸かる愉悦を楽しめます。まるで主人公の大八になったと錯覚するくらいに。

私は、歴史ジャンルの投稿作品を読んだ後、大抵はWikipediaで関連しそうなキーワードを探ってみます。作者の空想による付加価値と言うか、アレンジの妙を確認したいじゃないですか。
今回であれば「内藤新宿」。
まさか登場人物が実在するとは思わないでしょう。でも、主人公の名前がWikipediaに有ったんですよ。私ゃビックリしました。
本作品は半分以上が史実です。そう言い切っちゃうと語弊があるか。少なくとも、現実に流布された伝承に基づいています。
それを知ると、余計に読みたくなりませんか?

短編にはMAX2つが信条なんですが、星3つ付けました。

ところで、作者の別作「狐と剣士」も良い味を出してました。

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