地獄の幾何学問題ドリル

三行め辺りでこの単語が見えた時、「あ、これ好きかも」と思った。たぶん僕の中でいちばん的確な例えが『あだち充マンガの男女を読んでいるみたい』というもので、もういっこ例えるなら(共感してもらえる自信はないけど)、『水曜どうでしょう』の最終回で、伝説的番組のゴールに向かうさなかに藤村ディレクターが半泣きで口にした言葉である「ぼくは最後まで茶化していくよ!」という、感動して終われると思うなよ!的な創作スタイルが読み取れた。高村と同じ学校に行きたいから必死で勉強した―――のではなく、『地獄の幾何学問題ドリル』を『ハチマキで頭をひょうたん型にして』、『一回くらいは頑張るかー』と他人事のように自分を表現する主人公にとても好感が持てた。最後の部分も、進展はありつつ絶妙な距離感が保たれていてとってもよかった。

個人的な嗜好で言うと、高村の性別が"違って"もそれはそれで面白いと思いました(作中に高村和泉の性別に具体的に触れた箇所はない)。

推します。