「君のせいで今日も死ねない」と言われる人になりたい。

平凡な男の子、人気者の女の子。
物語はこの二人の高校生をメインに綴られている。

物語の展開は伏せるが、テンポが良く、スラスラと読み進められる。

男の子の感情の描写が丁寧に行き届いていて、より身近に感じられた。
漠然とした「死にたい」想いを抱える者が、明確な「死にたい」想いを抱える者を前にした時の感情。経験なしでは語ることも難しいだろうが、リアリティがあってとても良い。

個人的には出逢う場所も、行く場所も、現実味があって好き。
作者の飴月さんが「リアリティ」を意識されているのかは分からないが、そのような細やかな部分にも気を遣われているように感じた。
男の子と女の子の掛け合いの描写も上手で、特に女の子のツッコミに関しては、飴月さん自身が「読者ならこうツッコむだろう」と考えているのが感じられるほど正確。笑

「君のせいで今日も死ねない」なんて、いつか言われてみたい。
(大切な人の死ねない理由になりたいものですね……。)

高校生の男女と言うと青春というジャンルに括られがちだが、本作は身近な「死にたい」を取り入れられた、青春の一歩向こう側の物語だとも思う。

是非読んでみてください。