まるで極上のブレンデッドウヰスキー 飲まなきゃ(読まなきゃ)勿体ない!

 最初に叩き付けられる強烈な暴力・残虐・性描写は、アルコール度数の高い蒸留酒を思わせ確実に人を選ぶ。

 しかしそれだけではない。

 流麗な飲み口(読み口)に豊富なフレーバー(語彙)の数々。

 丁寧に蒸留を繰り返されたことが判る巧みな構成。

 マスターブレンダー(作者)の確かな知識に裏打ちされた詳細な設定は、作品の風味を自在に操れることを意味している。

 ポストアポカリプスを彷彿とさせるスモーク香の中で、ほんの僅かに顔を出すクトゥルー神話(クトゥルフ神話)由来のヨード香も、のんべえ(神話ファン)には嬉しいアクセントだ。

 そして、それらが怒涛の如く押し寄せた後に初めて気づかされる、ほんのりと甘く何処までも優しい余韻。

 読者諸兄も、この芳醇で奥深い世界を一度味わってみてはいかがだろうか?

 但し、読者諸兄が依存症になってしまっても、私は一切の責任を取れない。

 何故なら、私自身がとっくに依存症だからである……。

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