それは、夢だったのか?残酷な世界にて。

  • ★★★ Excellent!!!

 独特の空気感と世界観を持つダークファンタジー。確かな文章力と表現力で繰り出される凄惨な世界は、血の色。残酷描写は多めです。

 物語の舞台は災厄後の未来の地球。世界は大きく変遷し、魔物という未知の生命体が生まれ、人類は危機に瀕して亜人種という新たな人類を作り出す。

 主人公はどんな鋼も太刀打ちできないできない硬質な角を持つ、亜人種の女性、紫蘭。その角は何に使えるかというものでもなく、着替えで引っかかって服を引き裂いてしまったりと、かなり邪魔。だけどそんな角をもつ亜人種は他にはいないようで。
 そんな彼女も娘に恵まれ、魔物に夫を殺される等の哀しい過去を背負いつつも、病弱な娘のためならと母親として精いっぱいに行動していくのですが。

 親子を受け入れてくれた村に、魔物の襲撃。
 紫蘭の世界はふたたび、闇と血にまみれていく。悲惨なあの「夢」とは違った形で、彼女を絶望へと。そこで出会った人物に与えられた奇跡は、彼女にとっての救いの一筋の光、福音となるのか。

 彼女が背負った宿命と、成すべき事とは。

 謎を多くはらみつつ登場人物を増やしながら、物語は更なる深淵へ。
 ぜひとも最後まで追いかけたい作品です。

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