虚無と絶望の中への共感

何か不思議に胸をわしづかみにされる作品です。まったく楽しさの欠片もなく、救いようのない虚無と絶望と悲しみがあるだけなのに、つい引き込まれて読み進めてしまいます。

彼女の存在を認めてくれたのが、殺し屋と浮浪者?のおじいさん、彼女が救った?弟に似た少年、彼らは皆、その虚無をまとった彼女によって心を救われた人たちだったのかも知れない。

そして、その虚無は誰の心の中にもあり、誰もがどこかで彼女の歌を求めているのかもしれません。だからこそ、この絶望と虚無の救いようのない作品に、作者の文章力の巧みさもあって、つい引き込まれてしまうのかもしれません。

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