グスコーの伝記

作者 @Teturo

85

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★★★ Excellent!!!

グスコーという一人の女性の切なくも悲しい物語。
その壮絶な人生の中で、音楽との出逢いが押し殺した心の奥を
目覚めさせていく。
憧れと愛情と増悪を原動力に作られた歌に
同じような境遇の少年少女達の心を汲み取っていく。

淡々と語られながら涙なくしては読めない
心を抉りとられるようなそんな物語です。

★★★ Excellent!!!

グスコーブドリの伝記をモチーフにした作品ということで、心を抉られることを覚悟して読みました。
グスコーが女の子に換骨奪胎された本作品では、主人公の運命はグスコーブドリの伝記より過酷です。
読了後、覚悟以上に心を抉られました。
純文学好きな方に特にオススメです。

★★★ Excellent!!!

白くて透明な、気づく人には気づく輝きを纏った才能が生まれ、消えて行った。
その存在は透明だから、周りの色も透けて見える。
薄暗い闇の中では闇の色に身を浸す。
けど、闇を透明な輝きでやわらげていく。

何かそんなお話です。

★★★ Excellent!!!

 絶望と悲しみにまみれた人生を送った者も人々の未来に何らかの希望を残す…そんなことを感じた。
 やさしい眼差しで人々を見つめ、どんな人生も決して否定しない。そんな作家がカクヨムには多い。@Teturoさんもそのひとりだ。
「グスコーの伝記」を是非読んで欲しい。全ての文学に共通するテーマが何なのかが解るはずである。

★★★ Excellent!!!

何か不思議に胸をわしづかみにされる作品です。まったく楽しさの欠片もなく、救いようのない虚無と絶望と悲しみがあるだけなのに、つい引き込まれて読み進めてしまいます。

彼女の存在を認めてくれたのが、殺し屋と浮浪者?のおじいさん、彼女が救った?弟に似た少年、彼らは皆、その虚無をまとった彼女によって心を救われた人たちだったのかも知れない。

そして、その虚無は誰の心の中にもあり、誰もがどこかで彼女の歌を求めているのかもしれません。だからこそ、この絶望と虚無の救いようのない作品に、作者の文章力の巧みさもあって、つい引き込まれてしまうのかもしれません。

★★★ Excellent!!!

「グスコーブドリの伝記」という、宮沢賢治の童話があります。
グスコーブドリという、一人の少年が、押しつぶされそうな現実の中を生き、しかし周りの幸いのために、災害にたった一人で立ち向かった男となった話です。
本作は、そのグスコーブドリが、現代に、それも新宿という地に生まれ落ちたら……というお話です。
のっけからグスコーブドリが女の子という時点で、もうハードな展開しか予想がつきませんでしたが、そのハードさを飲み込んで、読んでいく価値のある一作だと思いました。
ひとりの人間が生まれ、生きて、生き抜いて、そして己が才により、周りをより良くしていくことができ、そしてそして……そんなお話です。
哀愁の中、不思議な魅力と迫力をたたえている逸品です。
どうか、ご一読を。

★★★ Excellent!!!

社会の片隅で生きる少女、グスコー。
その生は踏みにじられ、弄ばれる。
少女の瞳から光が消えていく。

一人の歌い手、古ぼけたギター。
「全ての曲は憧れと愛情と憎悪を原動力に作られた」
言葉が、沁みる。
「虚無からは何も生まれない」

グスコーはギターを手にとる。
歌が生まれる。
少女の瞳に、光が灯る。

グスコーは歌う。憧れ、愛情、そして憎悪。
一番届け難い歌だ。私たちが蓋をしたい感情。呑み込まれてしまう感情。
でも、グスコーは歌う。憎悪の先で生きる自分を。
グスコーはちゃんと届けるのだ、みんなに。

この物語を契機に、「グスコーブドリの伝記」を読んだ。
知らないだけで、私たちは幾人ものブドリの先で生きているのだろう。

耳を澄ませば、歌声が聴こえる。

私たちはこの世界を渡る。祈るように。
憧れと愛情と憎悪を、原動力として。