青春18きっぷを握り締め、あの日の自分と旅に出る。

中学二年生の勇希くん、東京から鈍行で遥々札幌を目指す…!

旅先で出会う人たちとの時に厳しくも暖かい交流。飛び交う方言。頼りない懐具合を気にしながら啜るラーメン。ぼったくりの安宿。
そして、ミステリアスな年上女性との切ない思い出…。

14歳は大人と子供の境界に立つ年齢です。
親や教師に反発し、広い世界を見たくて遠くを目指すも、己の非力さに打ちのめされ、お母さんのおにぎりに涙を流し、お父さんが忍ばせた封筒の中のお小遣いに救われる…。
アンビバレントな感情に引き裂かれながらも、ひたすら足を止めない彼の姿に、いつかの自分を見る思いでした。

それにしても、たった17話でこの濃密さ!
さながら少年版深夜特急。
なかなか旅に出られないこのご時世だからこそ、広く読まれてほしい名作です。