生きることに触れる。そして、もう一度歩き出す。

人間関係の軋轢とままならぬ世間との間で消耗していた青年が、武蔵野の森と老人をきっかけにして再起していく話です。

見知った光景が失われる時に、自分の子ども時代の終わりを感じる。その一連の描写と表現が素晴らしかったです。

そして、老人の語る様はまるでうっそうと茂る木々の中に混ざった古木のようでした。語りかけてくる言葉が再び生きることへの期待を青年に与えてくれます。

古くからそこにあるものに目を向ける。

そんな営みの美しさを存分に描いた作品でした。

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