バレリーナの夫

作者 海山堂

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★★★ Excellent!!!

ネタバレになります。先に小説をお読みください。
物語の終盤まで、まるで空気のように自らの存在を主張しない登場人物がいる。
姉を主人公に据え彼女の(主に妹に対する)心情を描き出すことによって作者は読者に姉妹二人のストーリーを追わせるが、読者は姉の語り口に何か抑えた想いを感じるはずだ。
物語のラストシーンで読者はこの小説が誰と誰の物語だったのか気づく。
そんなこと、タイトルを見ればわかるでしょ…と作者はほくそ笑む。
秘すれば花である。見事と言うほかない。

★★★ Excellent!!!

妹夫婦を支える姉。
命の灯火が消えかける妹。
不甲斐なく平凡な妹の夫。

一つの命が消えかかるころの、複雑で心細い、繊細な人間模様が、丁寧に描かれています。
彼女たちの言葉にできない秘めた気持ちが、彼女たちの仕草や、作品に出てくる小物にまで、宿っているようでした。

読み手の胸に硝子片を残すような、そんな読後感でした。
とても良かったです。

★★★ Excellent!!!

かつて二人でバレエを習っていた姉妹。
妹の方がその道を諦めてしまったのに対し、姉はまだトゥシューズを履いていた。

やがて妹は姉の勧めで結婚をするが、病魔に襲われてしまう。妹の夫のために、姉は日々食事を作りに夫婦の家へと出入りするようになり……。

甲斐甲斐しく妹の世話を焼きながらショーダンサーをする姉の姿が美しかったです。そして、舞台に上がっていないはずなのに孤高の美を保ち続ける妹もまたバレリーナのように美しいのです。

そして、病に蝕まれている妹を通して姉は自分が求めていた幸せに気がついてしまう。耽美的で、そして苦い、とても美しいお話でした。