美しさは姿形だけではなかった、その心と愛も

  • ★★★ Excellent!!!

 レティリエは、人狼の村にあって、狼になれないというマイナススタート。それを要因としての不遇が続くのが、読んでいてなかなか辛いのですが、そんな中でも彼女の味方になる安らぎの存在が誰かしらいるという、絶妙な匙加減で、ひたすら辛いだけの状況ではなく、レティも読者も踏ん張れるという。

 狼の世界観と価値観、人間の世界観と価値観が交錯していく中で、健気なレティリエは、その凛とした狼としての矜持を胸に、孤独の中でも一人立ち向かって、いくつものピンチを、機転と度胸で乗り越えていく姿は、とにかく逞しくて美しい。


 彼女の心に秘めた恋心が甘酸っぱく、グレイルとの僅かなふれあい、それこそ肩が触れ合うような些細な事でも、一緒に胸が早鐘を打ち始めるような、切ない恋心を追体験してしまう。

 人と、狼と、両方の姿を持つ人狼という立場を、人と狼それぞれの価値観を絡ませて表現しているのが秀逸。そこにロマンス要素が比重高く反映されていて、恋愛小説としてかなりのハイレベル作品。
 更に、物語の主軸や世界観もしっかりしており、恋愛のタグで女性向けに思われるかもだが、人狼が主人公のファンタジー作品として、男性にも読みごたえのある一作ではないかと。

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