最後まで読んだとき、あなたは【うそ】の可能性を知る。

 十年間雪が降り続く町。人々に【うそつき】として疎んじられていた美冬は一人、町外れの天文台で暮らしていた。彼女はとある事件がきっかけで、【うそ】を唯一楽しんでくれた秋人と疎遠になっていた。
 そこに、ヨウコと名乗る少女が現れ、天文台に逗留させてほしいと願い出る。

 無駄のない情景描写と抽象的な心理描写。しかし、抽象的でありながらメッセージ性の非常に強い物語になっています。
 ところどころに描かれる、論理学的パラドックスと数学的理論を交えたウィットに富んだ文章も心地よいです。

 一度読んだら心を掴まれてしまうような、純文学的名作です。

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