か細いきっかけから始まる、美しき少女小説。

 女の子同士が時間をかけて親密になっていく関係を、丁寧な筆致でじっくりと描いた物語です。

 久美はちょっと皮肉屋で猫のような女の子。浅倉先輩は性別問わず魅了してしまうような容姿と清らかさをもった女の子。
 二人の穏やかな時間を感じさせる会話と、浅倉先輩の一挙手一投足に無意識の警鐘を覚える久美の心の声が、絶妙な距離感を演出しています。
 美しい言葉と甘い少女の口調で綴られる物語に、ぐんぐん惹き込まれてしまいました。一話から積み上げての最終話で交わされる二人の会話がまた良いのです……っ。

 ——読了後に。
 各話のタイトルと、冒頭の一節を続けて読んでみることをお勧めします。

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