ミレニアム。もうすっかり昔の言葉になりました。この単語が枕詞みたいと感じたところから、物語は始まります。愛の言葉。背中を押す言葉。二人の男女の純粋で力強い愛情に、涙して下さい。
百人一首から「ミレニアム」が枕詞に似てるよね、で始まる滅びと再生のお話。病室で、覚悟が決まっている男の絞り出した歌。まもなく虹の橋を渡る彼女の、遺言。互いの歌が下手故に。下手であるが故に。その切なさが読者の胸を打つだろう。そして読者は願うだろう。男の未来に幸あれと。悲劇だがそれを忘れ去らせる読後感のよさが最大の魅力だろう。
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