真実すらも雪に吸われて。

なんとまとめたらいいのか分からない微妙な関係性の二人の間の空気感を、雪というモチーフを非常に上手く使って、描ききっています。
そして後半の解釈次第で、物語は全く別の顔を見せる、まさに構成の為せる妙です。

最後に少しだけ。
「私が好いていたのは幼馴染と共有した時間であり、喜びであり、理不尽さや葛藤も柔らかなお菓子のように存在したあの日々を慈しむ、ある種のノスタルジー的な子供時代の否定でもあるのだ」
この一文に作者様の感性の鋭さと、それを言語化する卓越した筆力が表れています。
柔らかい感動が読後に残る、素敵な作品です。

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