雪を溶く熱

作者 竹神チエ

97

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★★★ Excellent!!!

優しい夫がいて、祖父母も両親も健在で、愛くるしい猫と暮らす美冬。幸せの中に少しの不満や心細さも混在する、そんな普通の日常を送る彼女は、雪が積もったある日の夜、不思議な体験をします。

美冬の人生と日常が繊細に描かれているからこそ雪の夜の出来事の異質さが際立ち、その後の展開の切なさが胸を打ちます。

登場する人や動物も魅力に満ちています。理解ある夫、不憫な幼馴染、少しだけ登場するおばあちゃんの醸し出すなんとも言えない寂寥感、妙に元気な犬……。
特筆すべきは、猫。ちょっとした仕草がとにかく可愛い。特に何をするでもないのに絶大な存在感を放っており、そのくせ物語の邪魔にはならず、雰囲気作りを大いに助けています。猫好きな方にもお勧めできる作品です。

ぜひご一読を。

★★★ Excellent!!!

 同じプロットで別々の作者さんが物語を書く企画「筆致は物語を超えるか」。
 今回の「雪を溶く熱」は、切なくも温かいお話です。
 今回の企画の中でも、飛び抜けてリーダビリティが高いこの作品は、やはり作者さんの地力の高さがなせる技なのでしょう。
 淡々とした語り口で「読ませる」というのは実は本当に難しいことで、そのあたりをさらりとやってのける手腕には脱帽です。
 さらに、キャラクタの造形がまた素晴らしい。そういうものが相まって、この作品の「読みやすさ」と「読後感の良さ」が出ているのだと思います。
 本当に、切なくも温かいお話です。オススメです。ぜひ!

★★★ Excellent!!!

もし、あの時、別の選択肢を選んでいたら。
もしくは相手が、別の選択肢を選んでいたら。
今ここにいる自分は、違う自分だったのだろうか。

中学時代のあることで、徹底的に幼馴染を拒絶した美冬。
時は流れ、美冬は中学時代から付き合っていた人と結婚した。その夫の単身赴任中、疎遠となった幼馴染がやってくる。
幼馴染との会話の中、彼女は、もしものことを考える。

衝撃的な結末と、美冬の下した『もしもの結末』とその心のうちが、とても印象的でした。

★★★ Excellent!!!

幼馴染の秋人と美冬。疎遠になっていた彼が美冬の元にやってくるが……。

同じプロットから違う物語を書く「筆致企画」の参加作品です。
前半の展開と、後半のまさかのどんでん返しに驚きました。

ネタバレになってしまうので詳細はかけませんが、私が言いたいことはただ一つ。

皆さん、どうか伝えて下さい。
いますぐに。

★★★ Excellent!!!

なんとまとめたらいいのか分からない微妙な関係性の二人の間の空気感を、雪というモチーフを非常に上手く使って、描ききっています。
そして後半の解釈次第で、物語は全く別の顔を見せる、まさに構成の為せる妙です。

最後に少しだけ。
「私が好いていたのは幼馴染と共有した時間であり、喜びであり、理不尽さや葛藤も柔らかなお菓子のように存在したあの日々を慈しむ、ある種のノスタルジー的な子供時代の否定でもあるのだ」
この一文に作者様の感性の鋭さと、それを言語化する卓越した筆力が表れています。
柔らかい感動が読後に残る、素敵な作品です。

★★★ Excellent!!!

 旅立つ幼なじみを遠くから見送るという共通プロットから執筆する企画の参加作です。全編シリアスですが、地に足のついた描写で自然と物語の世界に引きこまれます。

 幼かった日のすれ違い。過去の想い。現在の生活。そして未来。切なくも力強い物語です。ぜひご覧ください。

★★★ Excellent!!!

秋人と美冬の会話は、とても楽しく読めて、面白かったです。
そして美しく、猫が可愛らしく、不思議な作品でした。
過去を思い出し、泣いたりもしましたが、
心が癒され、浄化されるような作品でした。

前から、才能を感じていましたが、
やっぱりすごいなぁと思いました。

作者さんには、素晴らしい物語をありがとうございますと、伝えたいです。