バカな小説と見せかけて……?

レビューで「バカ」なんて単語使うのは非常識だと思ったんですが、
「兵学校で寮に入ったら皇女殿下が備品としてついてきたゾ」
とかいうあらすじは、やっぱりすごくバカで面白いので、ちょっと使わざるをえなかったです。

ラブコメなのかもしれないですけど、ラブコメに「備品」なんて単語が出てくるのはちょっとおかしい気がします。気のせいかもしれないのでわからないですが、作品自体は面白いのでこれでいいのかもしれません。どっちなのか本当にわかりません。どうにかして。

ラブコメなのかもしれない、と書いたのには理由があって、「兵学校」が舞台のわりに何と戦っているのか微妙にぼんやりしていたり、描写される訓練が訓練というより生体実験を想起させたり、ところどころで不穏な影が差しています。今後どう展開するのかわかりませんが、もしかすると読み進めるうえでのキーポイントになるのかもしれません。

別の作品でも感じたことですが、キャッチーなガワと裏腹に、作者の方はある種の抽象性を元手に物語をつくっているような感じがします。その抽象性にときおり、ぼんやりとした不安が立ち込めるところが、とてもいいです(こんな評価はうれしくないかもですが……)。

今回の作品にもドキドキしております。