これは、なんだ。
とっても予想外に細部まで丁寧に作られた終末世界の戦闘ものか。
ラブコメのタグが付いているものの、今やその世界設定やギアローダーの性能や、はたまた『備品』の存在理由とか、そちらも隅々まで堪能できる作りに脱帽ものです。
もちろん主人公とヒロイン・皇女殿下のゆっくりと育まれていく信頼関係とその先の想いもしっかり描かれていています。戦時下(人ではない物から人類を護るための戦い)でボロボロになっても彼女を求める主人公が行動するところは胸が熱くなります。
彼が駆るギアローダー・チグリスの強さも気になります。他のギアローダーにはない能力を秘めたチグリス。主人公と共に戦場では圧倒的な強さを誇る謎の機体。(読了していないので、この先で謎が解けていくのか、気になるところです)
シリアスなのに、シリアスにふざけていて思わず笑ってしまうシーンもたっぷり。
ぜひご一読ください!
レビューで「バカ」なんて単語使うのは非常識だと思ったんですが、
「兵学校で寮に入ったら皇女殿下が備品としてついてきたゾ」
とかいうあらすじは、やっぱりすごくバカで面白いので、ちょっと使わざるをえなかったです。
ラブコメなのかもしれないですけど、ラブコメに「備品」なんて単語が出てくるのはちょっとおかしい気がします。気のせいかもしれないのでわからないですが、作品自体は面白いのでこれでいいのかもしれません。どっちなのか本当にわかりません。どうにかして。
ラブコメなのかもしれない、と書いたのには理由があって、「兵学校」が舞台のわりに何と戦っているのか微妙にぼんやりしていたり、描写される訓練が訓練というより生体実験を想起させたり、ところどころで不穏な影が差しています。今後どう展開するのかわかりませんが、もしかすると読み進めるうえでのキーポイントになるのかもしれません。
別の作品でも感じたことですが、キャッチーなガワと裏腹に、作者の方はある種の抽象性を元手に物語をつくっているような感じがします。その抽象性にときおり、ぼんやりとした不安が立ち込めるところが、とてもいいです(こんな評価はうれしくないかもですが……)。
今回の作品にもドキドキしております。