転生したら世界を救ってほしいとお願いされました
なお吉
プロローグ
突然だが。
俺は普通に人生を生き、普通に生活していた日本人だった。
そんな普通の俺だったが、車に轢かれそうな子供を庇って事故にあい35年で人生を終えた。
名前はタクト。
自分で言うのもなんだが、犯罪もしなければ困っている人がいれば助ける、一般常識を持って生活していたと思う。
そんな俺は現在白い空間に立っていた。
「こんにちは」
「え?」
さっきまで、そこには誰もいなかったはずだが……。
いつの間にか目の前に美しい銀髪で、顔も100人中100人が間違いなく美人と言う、どこか神々しい雰囲気を持つ女性が立っていた。
「……えと……どちら様で?あの、ここはどこですか?」
突然声をかけられ、びっくりしたがここが何処か気になったので質問してみる。
「ここは、現世とあの世の狭間に位置します。そして私は……貴方がたの言葉では、女神と言う存在になりますね」
目の前の人は女神だった。
「貴方は子供を庇い車に轢かれて亡くなりました。その後魂がこちらに流れ着いたのです。貴方だけではなく、人は亡くなった時に皆一度こちらに来ることになっています」
なるほど。半分あの世みたいなもんかな。
周りは、真っ白で何もないけどだだっ広い感じで不思議な場所みたいだ。
「私は貴方が生きている時から、この場所から見させてもらっていました。貴方は真面目に生き、困っている人がいれば助け、最後には子供を庇い死んでしまいました。
本当は長生きをしてもらいたかったのですが、人にはそれぞれ運命が定められています。そして……貴方の運命は特別……」
俺の運命が特別……なんだろう気になる。
「そんな貴方に実は……お願いがあるのです」
「お願い……ですか?」
「はい。貴方に一つの世界を救って欲しいのです」
「えっと……いきなり過ぎてちょっと何を言っているか……」
いきなりこんな場所で世界を救って欲しいと言われてもな。
俺が戸惑っているのを感じたのか、女神は説明を始める。
「申し訳ありません。混乱させてしまいましたね。説明をさせて頂きますので、わたしの話を聞いてもらえますか?」
「はい。俺もどういうことか気になるのでお願いします」
「はい。それでは説明させて頂きます」
そうして、女神から様々な説明をうけた。
女神いわく、救って欲しい世界とは、凶暴な魔物が蔓延り、邪神なるものが人類を滅ぼし、世界征服しようとしていている異世界だという。このまま邪神が世界征服をして、神樹ユグドラシルを壊されると他の平行世界。しいては、俺の前の世界にも侵略されると説明された。
正直信じられる話ではなかった。なかったが、前の世界には家族や、親しい友人達もいる。もし本当の事ならばそこに侵略されることは何がなんでも防がないといけない。もしそんな事になれば皆が……。
その為に俺に出来ることがあるのかと考えていると、女神が続きを話し始めた。
「そして、私からのお願いなのですが。
その異世界に、アルフィンと呼ばれる王女がおります。王女は邪神に対抗できる力を持っています。
貴方には彼女を護り、共に邪神を倒してほしいのです。邪神は強力で、貴方がそのまま転生しても対抗することは叶わず殺されてしまいます。貴女が力を貸してくれるのなら必要な力ギフトを与えます」
異世界に、王女に、邪神か……。その邪神が俺の家族達を危険にさらそうと言うのなら、俺に阻止できる力があるのなら……。
やってやろうじゃないか!
「どうでしょうか?私のお願いを聞いてもらえないでしょうか?」
「正直信じられる話ではないですが、貴女が嘘をついている様子でもないですし。それに俺の家族達を護りたいから。俺にしか出来ないのなら、ギフトをください」
「私を信じてくれてありがとうございます。それではギフトを授けます」
そこで俺は、転生することを承諾して、ギフトを貰うことにした。
そのギフトが
①イケメン
②魔力(女神いわく魔力は本人の資質により、変動するらしい。俺のはかなり多いみたいだ)
③ステータス表示(魔物のステータス、人物名、称号等、自分のも見える)
④英雄の身体能力
⑤???の称号(ん?称号?これは分からないな)
⑥???(これも分からない)
⑦経験値ブースト
5個目と6個目は異世界に行った時に分かると女神が言っていた。
あと、少しでも長生きして欲しいからと身体を20才ぐらいにしてくれた。これはオマケらしい。
転生先もアルフィン王女の近くまで送ってくれる様だ。
7個もギフトを貰ってしまった。
イケメンは正直嬉しいかな前世はほとんどモテなかったし。
魔力は物騒な世界に行くなら戦う力は必要だよな。
身体能力も経験値ブーストも嬉しい。
ステータス表示は助かるな魔物は見たことないし、情報が分かるのは大きい。
あとオマケもありがたい。
貰ったギフトを確認していると、いよいよ出発の時が来た。
転生先は魔法がありのファンタジーの世界みたいだ。
完全に異世界だな。
そういえば魔力か。魔法使い方分からないけど大丈夫だろうか。
「最後に、転生しましたらある人物が助けてくれるはずです」
「ん?ある人物って誰ですか?」
女神に聞こうとすると。俺の体を光が覆った。
転生が始まったみたいで、段々と体が透けていく。
意識も段々と薄れていくのが分かる。
そういえば、前世の俺を見ていたとか、俺の運命は特別だと、女神が言っていたが……どういう意味だろう?……大事な事も聞けなかった。
今までとは違う世界で生きていくのに、不安とプレッシャーはあるが皆を救える様に頑張ろう。
そうして俺は異世界に転生されました。
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