本屋でハリー・ポ●ターの隣に並んでいてもおかしくない名作オブ名作!!

私、こちらの作品の紙の書籍を探して本屋さんに行ったんです。
でも、どこにも置いてないんです……!! こんなにすごい作品なのになぜ?!

……と思ってしまうほど、とてつもない作品でした。
まず、おそらく作者様は現代の方ではありません。きっとこのお話の世界の住民で、魔法を使ってカクヨムさんに投稿しているに違いないです!
何せ、文中にはまるで息をするように世界のすべてが破綻なく描かれています。
魔法の仕組みやら毒物のことやら、微に入り細を穿つような描写に舌を巻きました!

また、文体もとても好み!!
例えば第14話
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【随分不愛想だね】

『明らかに不審者だとしても、余計な事に首を突っ込むと自分の首が飛ぶって事だろ。よく躾けられてるってわけだ』
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また第113話
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【危ないかな?】

『ああ。……行くなと言いたいぐらいにはな』
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など、
平坦な中に時折洋画のような粋な言い回しがピリリと効いていて、
すばらしさにたびたび唸りました。

伏線とその回収も鮮やかでした!
軽いところで言うと、第102話のラストで、普段は冷静なクレデューリさんが
>あえて君に聞きたい。君が知っているカナリアの事を教えてくれ
とやや食い気味で聞いていますが、実はこのときカナリアが弟の仇であることを確認したのだな、ということが第111話で明かされます。
大きな伏線とその驚きの回収については後述しますが、思わぬアイテム(麦粥)があとで効いてきたり(仲間と認められる)など意外性に満ち溢れていて、私はしょっちゅう「そうきたかー」と膝を打っておりました。

キャラクターの設定からして心を掴まれます。
しゃべれない魔女・カナリアと、彼女の代わりにしゃべるちょっと口の悪い小鳥のゴーレム・シャハボ――相棒としては完璧ですし、頭に浮かんでくる絵面もファンタジックでそそられました。

一章は、仲間だったメンバーから裏切りのような仕打ちを受けたカナリアが、シャハボとともにある辺境の地に赴き、王子に嫁ぐ令嬢をボディーガードすることになる……というストーリー。
思った以上にタフなキーロプさんがとても良キャラ。
イザックが敵か味方か最後まで分からずハラハラしました。その正体と、彼が最後にどうなったのか……いやー、びっくりでしたね。

二章は、当初の目標であるゴーレム・シャハボの足を治せるかもしれない職人に会いに行きます。
道中・クレデューリという女騎士と出会ったカナリアたちは、彼女と行動を共にすることになります。
村や村人には秘密が隠されていて、ちょっとミステリーチックな要素があり、めちゃくちゃ好きなストーリー展開でした。
村人たちが人間じゃないな……というのはうすうす気づいてたんですが、幸せの洞窟に入ったクレデューリのとった行動(融合)が意外過ぎて度肝を抜かれました。
そして、カナリアの正体にもかなりの衝撃が……!!
よく読み直してみると……というか、はじめからカナリアはどこか人間離れしてるんですよね。性格的なものだと思っていたんですが、こういうことだったとは。
そしてシャハボ、何者なんだ?!

第1話から、最新136話まで、二日かけて読ませていただきました。
とても充実した時間を過ごせてうれしかったです。
素晴らしい作品をありがとうございます。
書籍化の暁には全力で複数冊買わせていただきますのでよろしくお願いいたします。
長々と書いてしまい失礼いたしました。

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