教えるということ
それから、ある教師がムスタファーに言いました。「教えるということについてお言葉をください」
ムスタファーは言いました。「あなた方がまだ気づかないでいるものの、あなた方の知の夜明けに既にしかと存在しているもののほかに、あなた方に何かを語って聞かせることができる人はいません。
信徒や支持者に囲まれながら神殿の陰を歩いている教師は、その
音楽家は、世界に存在する最も美しい歌やメロディをあなた方に歌って聞かせることはできます。けれども、メロディのなかに存在する仕組み、すなわちリズムを捉えるような耳をあなた方にあげることはできませんし、曲のなかでハーモニーを生み出すような声をあげることもできません。
数を捉えることに長けた優れた数学者も、天秤や計測器の数値と、計測器それぞれの特徴をあなた方に説明することはできます。けれども、彼自身の知識それ自体をあなた方に譲渡することはできません。
ある人のもとに悟りが降りてきても、他の人にはその翼を授けてはくれないのです。
神の知識のなかでは、あなた方ひとりひとりに、ひとりきりの立つ場所があります。同じように、神を知ることと、大地の秘密を理解することにおいても、ひとりきりで立たなければならないのです」
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