理性と情熱
それから、占い師ミトラは、彼にこのようにお願いしました。「理性と情熱についてお話しください」
ムスタファーは答えました。
「あなた方の魂はしばしば、理性や知性が情熱や欲望に対して絶え間ない戦争を挑んでくる戦場と化します。
私はまことに、あなた方の魂のための平和の創造者でありたいと思っています。
そしてあなた方の中にある憎しみ合いや不和を、団結や平和に変えたいものだと思います。
ですが、あなた方がご自身の魂のための平和の創造者にならず、あなた方の仲間全員を均しく愛する者にならなかったならば、(私が先に述べたような)平和実現はどこから生じるというのでしょうか?」
理性と情熱というものはですね、それらは魂の舵、そして帆なのです。魂は(さながら船のように)、この世界という海を進んでいます。
なので、もしもその舵が壊れ、帆が破れてしまったならば、魂という船は航路に沿って進むことが出来なくなり、右へと左へと激しく打ち付けてくる波に翻弄され、果てには海のただ中の、安全だが無風な海域へと投げ飛ばされるでしょう。
なぜなら、もし理性が身体に対する支配力を一手に掌握したならば、理性は情熱を抑制してしまうからです。ですが、もし情熱に理性が伴わなかったならば、情熱は理性そのものを焼き滅ぼす炎となるでしょう。
したがって、理性によって、あなたご自身の魂を情熱と同じレベルにまで高めなさい。その時あなたは、ご自身の胸を歓喜させ、ご自身に説き明かすところのものが何であるかを見て取るでしょう。
それゆえに、あなたの理性を、情熱を導く者、情熱を統率する者にしないさい。あなたの情熱が、日ごとに死んでもまた生き、不死鳥アンカー(ʿAnqāʾ, イラン神話に登場する想像上の不死鳥)のごとく、灰の上に高く立ち上がるように。
私はあなた方に、ふたりの親しい客人をもてなすのと同じように、理性と情熱の両者を扱うことを望みます。そうすれば、あなたがたはきっと、他方をもう一方よりも厚遇するようなことはしないでしょう。なぜなら、一方だけにかかずらい、他方をおろそかにする者は、結局両者からの愛と信頼とを失うことになるからです。
もしあなた方が、きれいな丘の間に青々と茂っているポプラの木陰で腰を下ろし、遠くに広がる田畑や牧場と一緒になって、平穏と静寂と清澄とを享受するなら、その時は心の中でこのように言いなさい。「神が理性の中で休息し給う」と。
嵐がたけり狂い、風が森の木々の根元を揺るがし、雷と稲妻が天の威容を示しているときは、その時は心の奥底で、畏怖と畏敬の念を持ちながらこのように言いなさい。「神が情熱の中で動き給う」と。
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