小説でしか味わえない面白さ
- ★★★ Excellent!!!
今の今まで不条理で理由のない物語は苦手だったのですけど、これを読了した今はその感覚がきれいさっぱりなくなってしまいました。「ああ、こういうふうに書けばいいんだ」「物語って全然自由だったんだ」って頬をひっぱたかれた気分です。ものすごくたくさんの小説の中からこの物語にたどり着けた幸運にありがとう。書き手目線のレビューなので読み手さんにはいまいち伝わらないレビューなのですが、不条理な世界観を置いてそれでも読み手に納得させてしまう文章力とか、文字だけの世界だからこそ想像して『自分だけの物語』にしてしまえる構成はむしろ不条理だからこそ成し得ることで、ちゃんと意味もある。これがマンガだったら台無しなんですよね。「え?これリアルなの?それともぶっ飛んでるの?」って頭が必死に処理しようとして、どっちに転ぶかはその人次第。登場人物の顔は自分の頭の中にだけある。うまい。見事過ぎ。
ちなみに僕の想像の中の雉(きじ)は……