言葉巧みなギャグロジックが爽快な青春譚。

巨大なダックテール・リーゼントで決めた怪人・アライくんと、冴えない風貌で押しに弱いジローくんが織りなす、ギャグと非日常と日常の青春譚。
まず、主人公であるアライくんの破天荒さ、強引さ、豪快さ、狡猾さ、無軌道さ、妙に憎めないキャラクター性が楽しく、お話の推進力となっています。
そんなアライくんに物語の語り部であるジローくんは、徹底的に、滅茶苦茶に、振り回されるわけですが、彼の豊富過ぎる語彙と、表現の限界に挑むかの様な語り口は特筆もので、彼の目から見た日常風景と人物評の妙は、一読の価値があります。
そんなジローくんの視点で紡がれる作品世界では、非常に小気味良く、キレ良く、アクロバティックにギャグが展開されて行く為、飽く事無くお話に惹き込まれて行きます。
とにかく力強いギャグロジックで構成されたお話ですが、読み進めるうちに、どうにも切ない気持ちにさせられたり、感傷的な想いを抱かされたりもする次第で、ここに青春譚としてのホロ苦さと甘酸っぱさが強く感じられます。
怪人・アライくんの野望は達成されるのか、ジローくんは押し寄せて来る艱難辛苦を乗り越えて立派な高校生になれるのか。
読んで損の無い名作です。

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