・・世界は、徐々にディストピアへと向かっていくのか?・・それとも?

畢竟、生きることとは、何だろう?

最も身近で最も重要なその問いを、この物語は何度も何度も、私に問いかけてくれた。生きることとは、何だろう。

現実と、仮想。
理想と、現実。
有益な存在を育むシステム。
有害な物質を締め出す空間。
私達は、疑問を感じながらもそれを、享受してきた。
しかし。
生きることとは、何だろう?

スチーブンソンの作品、『宝島』。
人々はこの作品を当初熱狂的に支持して迎え入れた。ところが、出版直後に『有害図書』のレッテルを貼り締め出してしまう。
『有害図書』となった『宝島』。
100年近くも間、子供たちはこの本を読むことを禁じられてしまうのだ。
でも。
子供たちは、そこに面白いものがあれば、その匂いを必ず嗅ぎ分ける。
どれだけ禁じられ金庫に仕舞われたとしても、必ず、鍵を開けてしまうのだ。

・・そのような力が、備わっているから。


主人公は、母として、妻として、ひとりの女性として、矛盾を抱えつつも生きることを諦めない。
世界がディストピアの縁へと向かっていたとしても、彼女は世界を投げ出すことはしない・・・


一気に読んでしまいました。読み終わったとき、鳥肌が立っていました。
日常を切り取るような自然な導入。コロナウイルス騒ぎを思わせる、現在進行形的な「日常」。
・・でも、何かが、おかしい。
なにかが、歪んでいる?
そう思った時には、もう後戻りできません。
一気に、不穏な世界へと引きずり込まれてしまいます。

・・いや、これ以上は、やめておきましょうね。

是非、ご自身でお読み頂くことをお勧めします。

面白いです!
超!おススメですよっ!

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