山神さまと、異界を超える健気な少女の物語。
- ★★★ Excellent!!!
旱魃に苦しむ小さな村で、親を喪い寄り添うように生きて来た双子の姉弟は、山神さまへの「使い」を頼まれた。姉は弟の青葉をかばい、男児となって山へ赴く。人里とは時間の流れ方の違う山神の宮で、彼女は一人の男性と出会う。アタリという名の男性は、かつて山神さまの許へ送られた子どもだったが――
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弟を想う「ぼく」や、山神さまに仕えるアタリの心情、山の風景などが、丁寧に描かれた作品です。孤独な女神を労わる少女の気持ちが沁みるように美しい。人界の営みと神々の暮らす異界とは、隔てがありますが、そこを超えて行き来する親子・兄弟の在り方は素敵だと感じました。
個人的には、烏天狗がお気に入りです。
陰惨さのない和風ファンタジーです。