概要
俺は「死にたい」と思う。これはプログラムのエラーなのだろうか。
全ての人間がいなくなった世界で、ただ一人残されたアンドロイドは孤独な幾億の昼と夜を過ごしていた。命を持たない人工知能であるはずなのに、彼はいつしか自らの死を願うように。
月が照らす古代の円形劇場で、緩慢な死を迎えようとしている彼の前に現れたものは……
月が照らす古代の円形劇場で、緩慢な死を迎えようとしている彼の前に現れたものは……
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!終わった世界の恋物語
終末ラブストーリーもの。
ポストアポカリプスの世界観を下地に語られるアンドロイドの物語。人間の文明の終焉、朽ちていく機械、繁茂する自然、などといった「終わること」を醸し出しつつ、一方で終わりを迎えた世界の中での新しい出会い、思考の独自発展に気付き、そして共感共存していくといった「続くこと」としての可能性や希望を絶妙な匙加減でスパイスされていました。この「終わること」と「続くこと」を互いに見え隠れさせている点から作品が秘める確かなテーマ性が見え、短い作品ながらもしっかりとした読後感を得られる素晴らしい作品でした。
またとても読みやすいのもポイント。SFというジャンルは食わず嫌いされがちです…続きを読む