この作品は『聖』が地獄の業火に焦がれる匂いがする。

ーー『ソドムとゴモラ』

遥か古代の聖典に、
その名がある堕落の都。

罪深き人類に訓戒を伝えるこの街を
闊歩したであろう人間達の踵音が
この小説からは
ひしひしと聞こえてきます。

愛を罪に落とし
欲を至上のものと信じるソドムの人々。

そんな彼等に対する作家自身の哀憐と深く鋭い眼差しが、
西洋と東洋を織り混ぜた『悪、欲、美』でこの作品は彩られています。

この作品は人間としての『性』と『聖』の交わりを苦しみと諦めをなぞらえながら
非常に深い洞察で
人間の根源をテーマとして掘り出している秀作と言えます。


本作は
地獄の業火を感じたいあなたに
是非、送りたい秀逸な作品です。


日南田ウヲ

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