透明とは無論見えない。
人間は見えない存在ではない。
だが、もし自らが「透明」になることができたら
その世界における欲望を完結させることができるのではないだろうか?
誰もがそう思う筈である。
それはこの小説を手に取った読者は誰であれ。
この短編はそうした読者の期待をくすぐりながら
最後まで一気に引っ張っていきます。
本文中、こう書かれています。
ーー私は例外的に恩恵にありつけた一人だろう。
作者の作り上げた世界で果たして「恩恵」を「本当」に受けた者は誰だろう?
それをずって読後には考えなければならない
本作は
短編の秀作ともいえます。
一度、手に取って見てください。
ミステリーは鍵を見つけることだと改めて考えますから
日南田ウヲ