カンデ・ラディール=カンクロウのネオガリア戦記　～最幸の降霊書を泣き祓いし者。～

　気がつくと、５歳の僕は調整池と呼ばれるところに浮かんでいた。外から緩やかに光が射し込む中、福音者に僕は導かれ、手を静かに引いてくれていたモトコと僕が生きていた世紀末の世界のことを思い出す。福音者は、次の世で生きるために必要なことを教えてくれる。そして、福音の恵みを受け、ネオガリア連侯国に転生する。
　僕は、リヒタイン侯爵様より騎士爵家を任じられていたラディール家の第九子のカンデ・ラディールとなる。僕は、思慮深い騎士であるカリスト父上が家長のラディール家ではじめて家族の優しさというものを知る。ほどなくして、父上は隣国との戦の場で裏切りにより、亡くなってしまう。ラディール家の残された家族に陰謀の手が...
　
　この出来事を僕は無数に繰り返していた。

　無数の涙の記憶溜まりと共に、僕を加護す…続きを読む