ファイナル・デッド山本ピュアブラック純米吟醸

作者 和田島 イサキ

99

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★★★ Excellent!!!

まずは読んでいただきたい。
果たして、君は1行目に書いてあることの意味が一読で分かっただろうか?
僕には分からず、二度見し、次に想像して、最後に噴いた。
哀愁漂うリズミカルな一人称。
突飛で思わず笑ってしまうと同時に唸ってしまう表現。
小説か?と聞かれたら否と答えると思う。
ヒロインの行く末を思うとハンカチが濡れてしまう。
医者に「あんた何したの?」と聞かれること思うと、哀れで……。
ブラギガスあきならぬピュアブラックしに幸あれ。

★★★ Excellent!!!

尻に純米吟醸を刺して死んでいる美女が開幕から飛び込んでくるとんでもない作品だと思って読み進めると、いつのまにか不器用な女の子と、なんでもできるしなんでも似合うが故に孤独な女の子の百合に巻き込まれます。
いったい何が起こったのかわからない…。
優しくて温かいまるで熱燗のような作品です。開幕のキレと最後にもキリっとくるオチでいい感じに「ふふふ…」となるすごい作品でした。

★★★ Excellent!!!

 あか、しろ、きいろ……綺麗に折りたたまれた紙風船。
 それをゆっくり開いて、銀紙に口を付ける。
 ふうっと息を吹き込んだら、いい感じに膨らんだ。

 冒頭1行までに何が行われたのか、これはすなわちそういうことで、それはつまり読者たる我々こそが山本なのである。
 さあ、想像してみよう。お尻の穴に息を吹き込む自分を。

 山本(=我々)は空気の量を間違えてしまったために、彼女の菊は破裂した。
 しかし悲しむことではないだろう。彼女は万年フローラルな香り漂わせる稀有な体質を手に入れたのだから。

★★★ Excellent!!!

この二人の掛け合いたまらん。
冬の富山に降り積もった雪の下、そこには春を待つ凍死体があった。彼女は尺取虫よろしく尻を突き出し、そこに山本ピュアブラック純米吟醸を突き刺していた。
奇抜なだけじゃなくて、センスの光るユーモラスな作品。ここから何が始まるのか、ワクワクが止まらない。
是非一読下さい。

★★★ Excellent!!!

「山本ピュアブラック 純米吟醸」というのは実在のお酒で、山本合同会社という蔵元が作っています。白神山地の湧き水を直接蔵まで引き込み(!)、全ての工程においていわゆる「源泉掛け流し」状態で使用する全国で唯一の蔵元です。
 ふくらみのある精悍で軽快な口当たりと、シトラスを思わせるスッキリとした後味が特徴の、伝統を踏襲しつつも挑戦的な、素晴らしい純米吟醸です。オーソドックスな味わいのお酒にちょっと飽きてきた方に特にオススメです。

 さて、そんなお酒を不遜にも最低の使い方で登場させた本作ですが、こちらも基本を踏襲しつつ挑戦的な作品であると言えます。
 一読して目に入るのは、まるで息継ぎをしていないかのように疾走感溢れる特徴的な文体なのですが、その実、構成は非常に正統派な印象を受けます。
 序盤のフックで読者をつかみ、引きずり倒し、ラストシーンまであれよあれよという間に連れて行く。一万字近くある文字数を全く感じさせないその足運びは、白神山地の湧き水のように繊細で柔軟です。
 とにかく軽妙な手触りが特徴的な作品で、それに身を委ねることができるなら、終始笑いっぱなしで読めると思います。
 日本酒を片手に、肩肘張らず、軽い気持ちでどうぞ。

★★★ Excellent!!!

死に立ての霊と化した女性と、なんか死神みたいな主人公がシュールな会話とそこはかとなく漂う百合感を織り交ぜる、ハートフルコメディ。アホとシリアスが9対1くらいで見事に調和しているというか、冒頭でケツに日本酒の一升瓶がぶっささっているところから1割でもシリアス方面に振ってくる豪腕ぶりに驚いたというか、これが本当の尻assかと思いました。語り口も癖がありすぎてそれがまた癖になる文体で、この語り口で1割でもシリアスに振ってくる豪腕ぶりは楽しい読書体験でした。いい話なのかなー?
爆ぜる菊って何のこっちゃと思いましたが、割とそのままで笑いました。