前編のみで閉じられたその物語の続きは、「彼女」の手で。

売れない作家の受賞シーンから始まるこの物語、一体全体どう話を広げるのか…と思いきや、突然切り替わる場面。そのまま彼の介護アンドロイド・一花の独白によって、二人のストーリーが語られていきます。

一花の語り口に垣間見える、ALSを患う作家水瀬の人柄と温かい日々。社会に根付く差別の視線。人類の業と優しさを同時に描くという、もの凄い荒技がサラリと違和感なく物語に落とし込まれています。

短編という少ない字数で、こんなに壮大なお話を読めるとは思っていなくて、読み終わった後しばらく動けませんでした。飲み込まれてしまった。


これ以上はわたしの語彙力が機能しないです……自分の目でご覧になるのが一番かと。
おすすめの一作です。

その他のおすすめレビュー

奥山柚惟さんの他のおすすめレビュー25