凍てついた哀しみを背負い彷徨う雪女。これは、僕と彼女と三日間の刻の行方

 三月初旬の或る日。
 僕は雪女と出会った。

 暦の上での季節は春でも、まだ、寒さがその身を凍えさせる頃、偶然、彼女と出逢った。
 具合が悪いのでは……と心配した主人公が声をかけると、その彼女は、『春を見つけた……』と嬉しそうに答える。

 あまりにも季節感のずれた様相に、訝しみながらも彼女を部屋へと招く。
 そこで語られたのは、衝撃的な事実と、哀しき過去。
 それを聞いた主人公の、優しき行動とは? 突き動かした衝動とは?

 この物語、ふたりを包みこむ情景も、ふたりが感じる優しげな想いも、そして、共にする儚げな短い時も、その表現が文学的に綴られているのが、とても素敵なのです。
 永遠に近い刻を彷徨う雪人の魂が、幸せと共に解放される時を知っているのは、空から舞降る名残雪だけなのでしょう……。

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