あなたもきっと叫びたくなる
- ★★★ Excellent!!!
Yesという誰もが知っている肯定の単語を、
ここまで魅力的に扱える作者様のセンスに鳥肌が立ちます。
主人公は腰を痛めて剣道をやめた少年、和平こと『ワヘイ』君。
引っ越し先の長野でカーリングをはじめたこと彼が、
様々な事情や葛藤を抱えた少年少女達に出会い、
この甘酸っぱくも爽快な青春の物語は始まります。
オリンピックで一躍脚光を浴びた、カーリング。
マイナースポーツからは脱却したものの、競技人口はまだ少ない、
そんなスポーツを題材にした稀有な作品!
見たことあるけど、ルールは? 勝ち負けの基準は?
というあなたは、ワヘイ君も同じスタートラインなので、
いっしょに成長していけるというオマケつき。
高校生の少年少女が宿す心の機微、
心臓が痛くなるような苦い思い、
叫びだしたくなる葛藤、胸が熱くなる情動を交え、
最後には胸に青空が広がるような清清しさで突き進んでいく、
珠玉の青春恋愛小説。
この世界の魅力に沈んだ先で、
ここぞというときに発する「Yes」に、
あなたもきっと感動と熱さで全身が震えるはず!
私はまだ中盤までの読者ですが、
この物語をどこまで見届けるかと問われれば、
答えはもちろん、最後までYes!
この想いを、ぜひあなたも自分自身の心で体験してみてください!
ここからは読んだひと向けの独り言ですが、
乃花先輩やリューリなどの女性陣も素敵ですが、
男子の友情いいですよね、
恋愛がワヘイ君の心情と相俟ってもどかしいので、
男の子同士で会話しているシーンですごくほっとします!
※ちなみに本作の作品概要にも記載されていますが、カーリングでYesというコールはスイープしろ、という意味です。最後まで、Yes→最後までスイープを続けろ→あきらめるな。
【2020/12/05追記】
最終話を読んだ上での追記レビューです※ネタバレは含みません
本作『最後まで、Yes。』に私が出会ったのは、
カクヨムをはじめた半年ほど前、
web小説の世界に足を踏み入れてすぐのことでした。
軽快な筆致と、活き活きした会話の虜になり、
一気に読んでは落ち着いて、また長く時間が取れるときに読み耽り、
夢中で没頭し、あるいは前のページをまた読み返したり、
カクヨムでとてもすてきな時間を過ごせたのは、本作のおかげです。
最後まで読み終え、主人公わへいの成長と恋の一年を、
いまは手放すのが本当に惜しいと感じています。
ヒロインとの関係は甘いばかりではなく、
時に苦しく、読んでいるこちらも胸が裂けそうな痛みに震える、
そんな時期もありました。
カーリングへのひたむきな思い、実力差に四苦八苦しながら、
それでも活路を見出していく姿に、何度も勇気と元気をもらいました。
特に最終章は、いままでの総括でありながら、
ヒロインの葛藤や痛み、それを受け止めてあげられる主人公わへいの成長、
物語がはじまった頃には想像もできなかった姿に、
目が潤んだのは一度や二度ではありません。
そしてYesの真価が発揮される最後の試合、最後の場面は、
この物語を最初から追いかけ続けてきたすべての読者に、
特別な感動を与えてくれます。
上手く言葉にできないのがもどかしいほど、本当に素晴らしい作品です。
このレビューが少しでも参考になり、
本作が多くの人の目に留まることを切に願います。
“最後までYes”だけではなく、“これからもYes”を選んだ主人公わへいと、
物語を完結に導いてくれた作者:上ノ下 皐月さんに心からの感謝をこめて。
拙いレビューですが、これで締めさせて頂きます。