私も、この物語を読むまでは、カーリングのルールをぜんぜん知りませんでした。ニュースで流れるイメージが先行していて、得点の仕組みなどを把握していませんでした。しかしこの物語を読むことで、ようやく基本ルールを把握することができました。
想像以上にチームワークが大切ですね。あと思ったよりも戦術の種類が多かったです。もちろん大会が開けるほど高度化したスポーツなので戦術が複数あって当然なんですが、どうしてもイメージが先行していると、先入観があるわけですよ。
なお作中では、私みたいなカーリングの有名な選手(だいたい美人)にウキウキするばかりで、肝心のルールを把握していない人に、ちょっと釘を刺すような描写もありまして、ちょっと反省しています。
さて、ルールについて触れるのはここまでにして、作中のキャラについて触れたいと思います。
主人公の扱いが、少し難しいです。ちょっと入り組んだ家庭の事情がありながら、それでいて人間関係に慎重なため、ドライと受け止められがちな少年です。しかし心の奥底に熱いものを持っているため、いざとなったら行動するやつです。
そんな主人公に対して、これまたちょっと入り組んだ家庭の事情を持ちながら、ちょっとミステリアスでありながら重苦しい判断基準を持った女子がヒロインをやっています。
だから直球な恋愛が進むわけではなくて、いくつもの寄り道をしていくわけですね。
ちょっとだけネタバレするなら、ほんのり重めで、かつ最後は突き抜けるような恋愛関係が展開されていきます。この重めの恋愛描写に関しては、かなり攻めていると感じますね。
この攻めている重めの恋愛をつなぐのが、カーリングです。
マイナースポーツであるカーリングと、攻めている重めの恋愛関係。いったいどうやって繋がるんだと思ったあなた。ぜひとも、この物語を読みましょう。
Yesという誰もが知っている肯定の単語を、
ここまで魅力的に扱える作者様のセンスに鳥肌が立ちます。
主人公は腰を痛めて剣道をやめた少年、和平こと『ワヘイ』君。
引っ越し先の長野でカーリングをはじめたこと彼が、
様々な事情や葛藤を抱えた少年少女達に出会い、
この甘酸っぱくも爽快な青春の物語は始まります。
オリンピックで一躍脚光を浴びた、カーリング。
マイナースポーツからは脱却したものの、競技人口はまだ少ない、
そんなスポーツを題材にした稀有な作品!
見たことあるけど、ルールは? 勝ち負けの基準は?
というあなたは、ワヘイ君も同じスタートラインなので、
いっしょに成長していけるというオマケつき。
高校生の少年少女が宿す心の機微、
心臓が痛くなるような苦い思い、
叫びだしたくなる葛藤、胸が熱くなる情動を交え、
最後には胸に青空が広がるような清清しさで突き進んでいく、
珠玉の青春恋愛小説。
この世界の魅力に沈んだ先で、
ここぞというときに発する「Yes」に、
あなたもきっと感動と熱さで全身が震えるはず!
私はまだ中盤までの読者ですが、
この物語をどこまで見届けるかと問われれば、
答えはもちろん、最後までYes!
この想いを、ぜひあなたも自分自身の心で体験してみてください!
ここからは読んだひと向けの独り言ですが、
乃花先輩やリューリなどの女性陣も素敵ですが、
男子の友情いいですよね、
恋愛がワヘイ君の心情と相俟ってもどかしいので、
男の子同士で会話しているシーンですごくほっとします!
※ちなみに本作の作品概要にも記載されていますが、カーリングでYesというコールはスイープしろ、という意味です。最後まで、Yes→最後までスイープを続けろ→あきらめるな。
【2020/12/05追記】
最終話を読んだ上での追記レビューです※ネタバレは含みません
本作『最後まで、Yes。』に私が出会ったのは、
カクヨムをはじめた半年ほど前、
web小説の世界に足を踏み入れてすぐのことでした。
軽快な筆致と、活き活きした会話の虜になり、
一気に読んでは落ち着いて、また長く時間が取れるときに読み耽り、
夢中で没頭し、あるいは前のページをまた読み返したり、
カクヨムでとてもすてきな時間を過ごせたのは、本作のおかげです。
最後まで読み終え、主人公わへいの成長と恋の一年を、
いまは手放すのが本当に惜しいと感じています。
ヒロインとの関係は甘いばかりではなく、
時に苦しく、読んでいるこちらも胸が裂けそうな痛みに震える、
そんな時期もありました。
カーリングへのひたむきな思い、実力差に四苦八苦しながら、
それでも活路を見出していく姿に、何度も勇気と元気をもらいました。
特に最終章は、いままでの総括でありながら、
ヒロインの葛藤や痛み、それを受け止めてあげられる主人公わへいの成長、
物語がはじまった頃には想像もできなかった姿に、
目が潤んだのは一度や二度ではありません。
そしてYesの真価が発揮される最後の試合、最後の場面は、
この物語を最初から追いかけ続けてきたすべての読者に、
特別な感動を与えてくれます。
上手く言葉にできないのがもどかしいほど、本当に素晴らしい作品です。
このレビューが少しでも参考になり、
本作が多くの人の目に留まることを切に願います。
“最後までYes”だけではなく、“これからもYes”を選んだ主人公わへいと、
物語を完結に導いてくれた作者:上ノ下 皐月さんに心からの感謝をこめて。
拙いレビューですが、これで締めさせて頂きます。
女子カーリングは人気ですが「ルールや戦略はどうも」って思いの方。恋愛小説を読みながら、知らないうちにカーリングも分かってしまう。そんなウマい話があったんです…。
いろいろ事情を抱えた少年少女が恋に悩むも、カーリングには前向き?
正直、私もまだ読んでる真っ最中なので大きなこと言えませんが、現実のカーラーたちがどこか身近に思えてきます。
もうひとつの共通点は「後戻りしない、できないこと」ですかね。新しい恋はもちろん、元カレ・元カノとのやり直しの恋も、気づかなかった新しい発見から始まります。カーリングのストーンもテイクアウト(弾き出す)しても投げたストーンは基本、後戻りしませんので、何事にも前向きな方にオススメですかね。