記憶の運び屋 —世界が回っているのは、記憶が彼らを忘れているから—

　記憶データ。それは、記憶喪失の“かれ”が拠り所とする、“落としてしまった過去”が映っているであろうもの。
　病院で目覚め、記憶どころか名前さえ忘れてしまった名無しの男が“かれ”だった。
　しかし“かれ”は捜査官と出会い、自分ができることをして、ひとの役に立ちたいと考える。
　“かれ”ができること。
　それは、他者のあたまを切り開き、記憶をのぞき観ること。
　後に相棒となる捜査官・ガラムの協力もあり、“かれ”は3308年現在の警察組織・セキュリティに勤めることとなる。
　ナノマシンが存在する世界において、“かれ”は容疑者たちの記憶をのぞき観る傍ら、どこかで落としたしまった自分の記憶を探そうとする。
　そのとき、“かれ”は記憶の中に潜む“謎の男”を見つけたのだった。