大きな激震が最愛の人を奪う。その事実と後悔と後顧の憂いを、今度は親友が

 親友が事故に巻き込まれ、早すぎる生涯を閉じた。その通夜に出席した主人公が、それまでの日々を回想して、物語が進んでいく。

 物語の中で、主人公と、親友と、その彼女、三人は素敵な関係を築いていた。
 ただ、三人が共に真面目で優しかったために、ふとしたきっかけで、その関係が壊れてしまう。そして、いつしか、負の螺旋に巻き込まれていく。
 それは、激震に襲われた、あの日……。

 通夜の開式が迫る時刻、夏だと言うのに黒いセーターを着た女性が会場へと入っていく。しかし彼女は、式の途中だというのにぬけだして……。

 その彼女を追った主人公が、踏み込んだ世界は……? そこで見たものは……?


 亡くなった親友は、彼女を奪い返しにきたのではないのだろう。親友を、現実へと立ち返らせ、現実を受け止め、新たな道を歩めと諭しにきたのかもしれない。
 もう、三人で、『今』は語れないのだから……と。

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