夢に隠された人の悪意
- ★★★ Excellent!!!
夢を見ない人はいないと思うのですけど、それは起きて時間の経過とともに忘れていくもの。通常は日常生活に支障をきたすほどのものではありません。人を苦しめ、悩ませる夢があるとしたら、それは『悪夢』です。
美大出身の女性、映は仕事上の悩みから心身に支障をきたし、次第に悪夢を見るようになります。
症状は重く、やがて映を蝕んでいき……
この作品の一番の魅力はオリジナリティに富んでいることだと思います。はじめて読むタイプの作品でした。なのにスッと肌に馴染んで心地いい、恐らく夷也さんだから書けた作品だと思います。
もう一つの魅力はリアルさ、映が病に苦しめられるさま、助けようと奔走する恋人、プライドをかけてそれに関わる医師、誰も彼もが命を持って生きているキャラクターなのです。フィクションなのにノンフィクションを追っかけていくようなリアルさ、どんどん病に踏み込んでいく感覚は恐怖でもありましたが快感でもありました。
人を苦しめるのが人なのだから恐ろしい。目が覚めても消えない恐怖、悪夢はどうすれば覚めるのか?
多くの方が関心を持たれるテーマではないかと思います。
面白いのでとにかく読んで下さい。