情熱とアンニュイと退廃を詰め込んだ、日常を映す「邦画」

ひょんなことから付き合った若い男女の、浮き沈みと日常を描いた邦画。
邦画といって差し支えない。

篤志と珠里の、時に情熱的で、時にアンニュイで、時に退廃的にすら感じられる、そのなんてことない日常が、2人の心情を交えながら、丁寧に丁寧に綴られていく。
学生時代に多かれ少なかれ誰もが経験したことのある思い出が、蘇る。

出かけて帰ってきた。夕飯を食べた。それだけのシーンに映る景色がたくさんあって、だからこそ読んでいるとこの余りにもリアルな世界に没入してしまうのだ。

そしてハラハラ、のち、ハラハラ。ああっ、もう! ちゃんと幸せになれるんでしょうねえ! とじれじれしながら気付いたら寝る時間をまわってます。

そんな素晴らしい作品。ああ、ちくしょう、言葉じゃ全然伝えられない。
1人でも多くの人に「観て」ほしい小説です。


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