狂歌合わせ、あるいは彼への

「人でなし」の男女が事件を解決するのではなく"終わらせる"ーーというのが、話の筋だ。
そこには正義も悪徳もなく、ただ振り切った無関心だけが残る。澄みきり静かな水辺のように揺らがない。それが彼のあり方であり、彼女の性格なのだろう。

これは、誰の話なのか。
バンビさんと呼ばれる少女か、
水無瀬という名の人でなしか、
それかーー頂上という人間の話なのか。

彼らひとりひとりの物語は、悲劇であり滑稽であるとも言える。
だがそれらがより合わさったら?
その物語はどのようなものとなるのか?

それを話すのは私の役目ではない。
あなたが目にし、感じることだ。

私は、ただただ「彼」に哀悼を感じる。
冷たい海に沈む手を、誰が掴んでくれるというのだろうか。