脳力ゼロの敗北者ーちょっと世界がきびしいのだがー

23世紀――人間が能力を開花させ、アプリケーションを現実世界に拡張し出力する。人間の価値を測るものさしは、いかに高い出力で脳力と呼ばれるアプリを起動できるかに左右され、社会的地位は脳力の高いものが評価される時代となった。
そんな世界で早乙女遊は脳が完全に成熟するとされる12歳のころに「脳力値0」と診断された、スペック不足の脳の持主ーーアプリを起動できない世界の敗北者だった。
「この世界は俺に優しくない！」

出先でぶつかった少女の落とした謎の物体の中身を見てしまった早乙女は偶然にも不良に絡まれている少女と再会する。
襲われる少女を救うため奮闘する彼は脳内に不思議な声を聞いて覚醒する。
『適性ヲ確認……クリア。条件ハ満タされマシタ』
彼は初めて脳力<アプリ>を起動するのだが……。