概要
「山のヌシよ。おまえを殺しにきた」
何度でも何度でも、生まれなおして貴様を殺す。
あるときは少女、あるときは隋に渡った僧、またあるときは陰陽師。憎悪を抱いて輪廻の輪をめぐりつづけるヒトと、その仇である巨大な蛇――山のヌシが行きつく先は。
あるときは少女、あるときは隋に渡った僧、またあるときは陰陽師。憎悪を抱いて輪廻の輪をめぐりつづけるヒトと、その仇である巨大な蛇――山のヌシが行きつく先は。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!不動のヌシと、流転する人の魂。そして巡る因果より生まれるもの。
ある山に、山に掟をしくヌシがいた。ヌシは巨大な体躯を持ち、神通力とも呼べる力で、掟を破る山人を罰していた。ヌシは人や動物の数を平らに守り、破る者には、いかづちを、岩を、毒の雨を罰として与えた。そこに人間がやってくる。
『ヌシよ、お前を殺しに来た』
作中に何度も登場する、意味深く印象的で、象徴的な言葉だ。ヌシの姿は、誰しもが見ることはできない。しかし、流転し、ヌシを殺しに来る人間には見えた。その巨大な蛇の姿が――。
山にいて、そこを守るヌシ。しかし人の世は移り行く。そのたびに、ヌシを殺しに来る者の姿は変わった。
そして、最後に人間が転生した姿とは。
ヌシが人間に抱いていたものとは…続きを読む - ★★★ Excellent!!!小さな山の、壮大な歴史。失いゆく記憶と失われない感情の物語
私も途中からこの二人(?)にある感情は恋に似ていると思っていましたが、私のとんちんかんな解釈で変なことを言っていたらどうしようと考え、胸に秘めようとしていました。最後にもう一度小説情報ページを見たら、タグに「殺し愛」とあって、作者様と心が通じ合った気持ちです。愛なのか。やはりそうか。わかっていたよ。
山の中に住まう、大きな大きな蛇の形をした異形の存在である「ヌシ」と、何度生まれ変わっても「ヌシ」を殺しに来る「かのヒト」との戦いの歴史です。「かのヒト」が最初の「ヌシの作った掟から山に住む人々を救う」という目的を忘れてただ「ヌシ」を殺すために知恵を凝らすようになること、「ヌシ」はいつしかあの手…続きを読む