不動のヌシと、流転する人の魂。そして巡る因果より生まれるもの。

 ある山に、山に掟をしくヌシがいた。ヌシは巨大な体躯を持ち、神通力とも呼べる力で、掟を破る山人を罰していた。ヌシは人や動物の数を平らに守り、破る者には、いかづちを、岩を、毒の雨を罰として与えた。そこに人間がやってくる。
 『ヌシよ、お前を殺しに来た』
 作中に何度も登場する、意味深く印象的で、象徴的な言葉だ。ヌシの姿は、誰しもが見ることはできない。しかし、流転し、ヌシを殺しに来る人間には見えた。その巨大な蛇の姿が――。
 山にいて、そこを守るヌシ。しかし人の世は移り行く。そのたびに、ヌシを殺しに来る者の姿は変わった。

 そして、最後に人間が転生した姿とは。
 ヌシが人間に抱いていたものとは。
 ラストは、是非皆さまに見てほしい。

 和風的な世界観で織り成される、不死身のヌシと人間の物語。

 是非、是非、御一読下さい!