第2話
年齢:25歳
職業:ニート
レベル:1
体力:55
魅力:12
所持金:4,910,130円
経験値:0
そこで俺は再び[状態]を読み込んだ。すると所持金が10万円減っているのが目に留まった。セーブとロードにもお金がかかるということだろうか。そうでなければ減るはずがない。まあ、過去に戻る能力だ。対価がないのもおかしい。
俺はそう納得して他の項目へと目をやった。このレベルとは一体何を意味しているのだろうか。
レベルを上げると体力と魅力が上がる仕組みなのだろうか。
もしそうだとしたら、俺はたった今ゲームの中に入り込んだわけだから、当然レベルは1だ。
どうしたらレベルアップができるかは見当もつかないけど。
マニュアルが存在しないゲームほど難しいものもない。
体力と魅力はどこで使うのだろう。
数値も
レベルは1なのに体力は55。そうなると100が最大ではないということだろう。
俺は未練を捨て、今度は[アイテム]に入った。すると、同様に不透明な2つのウインドウが現れた。
[[アイテムショップ]
[所持アイテム]
[所持アイテム]をタッチするとメッセージが現れる。
[現在所持しているアイテムはありません]
当然だ。何を期待したのだろう。俺は再び戻って[アイテムショップ]をタッチした。するといくつかの[アイテム]が現れる。レベルがある以上、レベルアップをすれば[アイテム]の種類も増えるのでは。それはゲームの
[Lv.1 スカウター 10万円]
[睡眠スプレー 25万円]
[万能キー 60万円]
[カメラ 10万円]
[外車 5千万円]
[国産車 8百万円]
俺はとりあえず、各項目をタッチしてみた。まずは一番上にあるスカウターから。
[Lv.1 スカウター 10万円を購入しますか?]
すると、購入意思を尋ねるメッセージが現れた。アイテムについての何ら情報も無しに。マニュアルがないのと同様にアイテムに関しても何の説明もしてくれないようである。本当に不親切なゲームだ。
その上、[アイテム]の金額はなぜこんなに高いのだろうか。ものすごい金額の単位にめまいがするほどだ。特に[外車]と[国産車]は家の価格相当だ。どんな凄い能力がある[アイテム]なのか。勿論、今持っているお金ではそもそも購入自体が不可能。
それにしても何か購入してみなければと思った。俺が入り込んでしまったこのゲームについて知るためにも。
そこで、目に入ってきたのは[Lv.1 スカウター]だった。
一番安いから試してみるには最適だとでもいおうか。勿論、もっとも安いアイテムが10万円という事実には思わず文句が出る。
購入を済ませ[所持アイテム]をタッチすると、項目に[Lv.1 スカウター]が表示される。
そして[Lv.1 スカウター]をタッチすると、なんと、詳しい説明がずらずらと現れた。
[Lv.1 スカウター]
[スカウターを使用した状態で対象の女性を見つめると攻略に必要な情報が出てきます。]
[レベルが高いスカウターであるほど詳しい情報が出てきます。]
買う前は何の説明もなかったのに購入を決めた
[女性を見つめると攻略に関する必要な情報が出てきます。]
まさにこの部分。
かなり意味深な感じだった。この言葉はつまり、このゲームは女性を攻略するのが目的ということ? えっとエロゲーのようなジャンルなのだろうか。
本当にそうだと思うと急に
購入に10万円を使ったため、確認のため[状態ウインドウ]を再び開けた。
長谷川 亮
年齢:25歳
職業:ニート
レベル:1
体力:55
魅力:12
所持金:4,810,130円
経験値:0
すると、正確に10万円が減っていた。計算は正確なゲームだ。
ふとここで俺は疑問に思えた。ゲームの中に入り込んでしまったとは言っても非現実的なのは[ゲームのシステム]だけだ。それ以外には、インターネットに接続できないのと、知人と連絡がとれないという点。それを除くと現実と異なる点はなかった。だからお腹も減ってきたしトイレも行きたくなった。
そうだったら、何か食べなければならない。
外で食べ物を買っても所持金は減るのだろうか?
命を繋ぐのに最も重要な食事に関する問題であったため、確認が必要だった。俺はお財布を持って家の外に出た。最も近いコンビニに入り、あれこれとカゴに入れカードで決済し、外に出てから[状態ウインドウ]を読み込んだ。
長谷川 亮
年齢:25歳
職業:ニート
レベル:1
体力:55
魅力:12
所持金:4,808,930円
経験値:0
1200円のお金が正確に引かれていた。所持金が減るのは[アイテム]の購入だけでなく、あらゆるお金の消費までもが含まれているという意味だ。救いだったのは、比較的金額の高い[アイテム]とは異なりコンビニで買うことのできる物が現実の値段のままだという点だろうか。おかげでしばらくは食べて生きるのに問題はなさそうだった。
急に高いアイテムを訳もなく購入さえしなければ、
仕事をするようになればゲームを進める時間など無くなる。そしてこれは単なる想像に過ぎないが、おそらくゲームから抜け出そうとする行動は許されないのではないだろうか。お金の問題は今すぐどうこうできるものではない。俺はとりあえず悩むのをやめ、外に出たついでにスカウターで試してみることにした。
[スカウターを使用しますか?]
所持アイテムに入って使用ボタンをタッチすると再びウインドウが出てきた。俺はこの面倒さにいら立った。きっとパソコンの前だったら、インターフェースがこのレベルなのかと掲示板に文句をつけていただろう。首を
年齢:21歳
彼氏:あり
攻略難易度:C
職業:大学生
居住地:現レベルでは不可
電話番号:現レベルでは不可
攻略情報:現レベルでは不可
出てきた情報はたいしたことがなかった。彼氏が有無と名前、年齢を
むしろ、疑問だけが
こんなにも詳細に知っている理由は、彼女の肩の下まで下ろしている長い髪とやや分厚い唇がかなりセクシーだったため、無意識にいつも目がいってしまっていたから。ゴミを出してマンションへと帰っていく後ろ姿を見るたびに胸がときめいた。
ならば、あの女は攻略できるだろうか?ふとそう思い、すぐに[アイテム]を
[Lv.1 スカウターを使用しますか?]
急いで [Lv.1 スカウター]を選択し、エレベーターに乗ろうとする彼女を見つめた。
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