俺の現実は恋愛ゲーム?? ~かと思ったら命がけのゲームだった~

わるいおとこ/ファミ通文庫

プロローグ

俺の生活はいつも平凡そのものだった。

考えてみれば生まれた瞬間から平凡へいぼんだったと思う。

学校、家、学校。

エンドレスに繰り返しているこの平凡極まりない無限ループ。

そういうわけで、将来に対する希望というものも、俺には相当曖昧あいまいな形のものに過ぎなかった。

だから、俺は大学を卒業するまでやりたいことを見つけられずにいた。

いつか見つかるだろうという安易な思考が俺を蚕食していた。

ポジティブという大義たいぎもと、俺の思考も侵食されていく。

その結果、俺はゲームにおぼれたただのニートになっていた。

ゲーム。

ゲーム。

ゲーム。

飯。

睡眠。

ゲーム。

ゲーム。

この道の先には何が待ち構えているのだろうか。

そんな思考さえもゴミ箱に放り出してしまった俺の青春、20代。

その俺に訪れたのは、ある非日常だった。

俺を変えてしまうきっかけとなった冤罪事件えんざいじけん

このまま生きていってはいけないと、自覚させてくれた。

その事件は俺に、やればできるという自信が生まれるきっかけとなったのだ。

始まりは、いわゆる生半可なまはんかな正義感によるものだった。

もし俺が、その良心すらない人だったら、今頃どうなっていただろう。

おそらく何も起こらなかっただろう。

何も起こっていなかったら、俺の人生はまた無限ループに浸食されていただろう。

しかし、この事件がもたらしたさらなる新たな波乱への招待は、そのまま受け入れて肯定するには、難しい点が多かった。

何故なぜならば、俺はあの事件以来、大きい激流に飲み込まれたからだ。

あの冤罪事件は、その後の激流に比べれば可愛いものだった。

俺の人生自体を丸ごと変えてしまった大激変。

平凡な日常を完全に奪い去ってしまったあの大きな出来事、俺には地獄のような時間だったが、聞く人にとってみれば、ただの面白いお話だと片づけられるかもしれない。

俺が経験した激変に出る登場人物は一人も平凡とはかけ離れていた。

平凡を超えた、危険と驚異の共存。

その激変の始まりは、何の予告もなく突然襲ってきた。

ただベッドから目を覚ましただけなのに。

まさにその瞬間が始まったのだ。

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