第8話
[写真を確認しますか?]
[1番目のファイル]
[2番目のファイル]
考えてみると、さっき[ロード]する前、最初のファイルだけ確認して[ゲームウインドウ]を視界から片づけてしまったいた。それから[セーブ]したから、まだ初期化はされていないようだった。いや、でも[ゲームウインドウ]を消してしまったからまた初期画面が出てくるべきではないか。
そこで一番下にある[戻る]をタッチしてみる。するとまた[ゲームウインドウ]が隅に消えた。なんだ。呆気にとられて[ゲームウインドウ]を再び読み込む。
するとまた、
[写真を確認しますか?]
[1番目のファイル]
[2番目のファイル]
同じメッセージが現れた。これはあれか。2番目のファイルまで全てを確認をすればこのウインドウから離れられるってやつか。
面倒だ。写真はもう必要ないって。
仕方なく[2番目のファイル]をタッチした。すると写真が現れる。
テーブルの横側が撮られていた。[1番目のファイル]は桜井と不倫男をまともに撮れていたが[2番目のファイル]は手だけが写っていた。
ただ、驚いたのは映っている冷蔵庫の中まで透視できたという事実だ。冷蔵庫に入っているのはなんと人だった。
まさか、これは夫か。
別居していると思っていたが、殺されていたとしたら。
いきなりパズルが合わさっていく気分だ。
彼女はお金に狂った殺人鬼だった。
[アイテム]に入り[アイテムショップ]をタッチした。そして [睡眠スプレー]を購入した。
[睡眠スプレーを使用しますか?]
メッセージを開いたまま立っていると
手に汗をかく。少しずつ距離が縮まってきた。今だと思う距離まで近づいた時に、すぐにメッセージをタッチして桜井をじっと見つめた。すると彼女は俺に飛びついたまま眠りにつき、男の死体の上に倒れた。
攻略条件だろうがなんだろうが、最初から共存することの出来ない女だった。身震いがして書斎から出てきた。台所へ行くとシンク台の隅に薬の入ったカプセルが置いてあった。そういえばクローゼットに隠れている時にガサガサする音が聞こえていた。その時は不倫男の毒殺を準備していたのだろうか。思わず失笑してしまった。
そして俺はついに待望の冷蔵庫の前に立った。初めて見た時から部屋の広さには合わない大型冷蔵庫だったため違和感を覚えてはいた。まさか死体が入っているとは考えてもみなかった。
通報すると決心してドアを開けた。その瞬間冷気が吹き出てきた。そして写真で見たように中には死体が入っていた。俺は残酷な場面をこれ以上見ていられず扉を閉めてしまった。そして、そこにある電話で警察に通報した後、家へと帰ってきた。
スペクタルな1日だった。まさかこれが攻略になるのだろうか。攻略とはセックスを意味するのではなく、このように隠された秘密を見つけ出すことなのだろうか。
もしたしたらそうかも知れない、 [ゲームウインドウ]を読み込んだ、 [状態]に入ってみる。
するとすぐにメッセージが現れた。
[隠された秘密 [金に狂った人妻]をクリアしました。]
[おめでとうございます。ボーナス5百万円が入金されました。]
[経験値 +35]
そしてまた違うメッセージが現れる。
[レベルアップしました。能力をアップさせることができます。 (0/10)]
体力: 55/999 + -
魅力: 12/999 + -
俺の考えは的中した。
攻略条件は行為や付き合うとかではなかった。隠された秘密を暴くことであった。それが殺人だろうが隠されている恥ずべき部分であろうが。そうなると、秘密のある女だけ、攻略情報が出てくるということなのか。勿論、これはただの俺の考えにすぎない。攻略条件がそれぞれ女によって違うこともある。これに関しては他の女を攻略してみればわかるだろう。
とにかく能力でもアップさせよう。正直、悩む必要もなかった。魅力がわずか12では女に接近することすら一苦労だ。
攻略対象が女である以上、魅力は重要だと思われる。
[レベルアップしました。能力をアップさせることができます。 (0/10)]
体力: 55/999 + -
魅力: 22/999 + -
俺は数値を全て魅力に費やし、[状態]から出た。
とにかく5百万円ものお金が出来た。しかし[アイテム]があまりにも高いせいで、5百万円というお金も大したことないようにも思える。それでも嬉しいのは事実だ。何にせよ、攻略するとお金が入ってくることを知ったのは大きな成果ともいえよう。
残り時間を確認してみる。
[残り時間 : 8731時間]
[経過時間 : 29時間]
[残り時間内に完全にクリアできなければ、本来のあなたの身体は死亡します。]
時間にはまだ余裕がある。攻略は達成したが完全クリアの意味が未だにわからない。以前にも少し考えてみたが、どうやら一定の攻略回数を満たせばいいのではないだろうか。
これ以上見たいものもなくなり[残り時間]から出た。すると急に目の前に2行のメッセージが現れる。
[ TIP : 完全クリアした後、現実に戻っても所持金はそのまま承継されます。]
[一度攻略対象を決めると、途中放棄することは不可能です。]
どうやらこのゲームには命のみならず、お金までかかっているようだ。しかし、この文句に食いついてお金を稼ごうと欲ばりたいとは思わない。お金より命だ。お金に執着する必要はない。だからお金よりは2番目のTIPの方が気になった。これは一度ミッションに突入したら引き返せないという意味だった。
そのメッセージをタッチするとスッと消えてしまった。そして初期画面が出てきた。俺はそのまま[状態]をタッチした。
長谷川 亮
年齢: 25歳
職業: ニート
レベル: 2
体力: 55
魅力: 22
所持金: 7,857,930円
経験値 : 35/204
所持金 7,857,930円が目にとまった。初期資金と比べて相当増えていた。
レベルが上がったところで、俺は新たなアイテムを期待し[アイテムショップ]に指を動かした。
[Lv.2 スカウター 15万円]
[睡眠スプレー 25万円]
[万能キー 60万円]
[カメラ 10万円]
[変身薬 100万円]
[望遠鏡 70万円]
[ストップウォッチ 3千万円]
[外車 5千万円]
[国産車 8百万円]
新たに追加されたアイテムは[変身薬] [望遠鏡] [ストップウォッチ]。そしてスカウターが Lv.2になって、金額も5万円高くなっていた。
必須アイテムのスカウターを除く残りのアイテムはため息しか出ない金額だった。お金さえあれば[国産車]や[外車]もどんな用途なのかを確認をしてみたいが、今は無理だ。[国産車]だけでも8百万円。買えっこない。
さらに[ストップウォッチ]は3千万円。高いにもほどがある。潔く関心を捨て、購入が可能な[変身薬]と[望遠鏡]に集中した。
[変身薬]と[望遠鏡]は合わせて170万円。これは買わねば。買えるものは買わなきゃ。けちっていてお金を使ってもみないで死んだら無駄死になるではないか。
最終的な購入目録は [Lv.2 スカウター] [変身薬] [望遠鏡]の3つに絞られた。
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