まとめ 4 ハット帽とロングスカート
翌日、オレはまた映画館に足を運んだ。なぜなら昨日の「ルイボス事故」のせいで、映画の後半のクライマックスが、集中して見れなかったからだ。オレは昨日と同じ座席に座った。
物語が進行するにつれて、昨日と同じように館内には寄生と絶叫が響いた。オレの右隣の女性が、興奮して足をバタバタとさせていた。それは見覚えのある、あのバタバタだった。
オレはそっと右に振り向き、隣の女性を見た。目が合った。すると彼女は、オレと彼女の席の間に置かれていた、ドリンクホルダーからドリンクをそっと取り出した。そしてゴクリと音をたてドリンクを飲み干し、ずっとそれを膝の上に抱えていた。
無事に映画を最後まで見ることができ、お手洗いをすませ、トイレを出た時だった。ちょうど女性トイレから出てきた、先ほどの女性と鉢合わせた。ロングスカートですぐに分かった。オレは軽く頭を下げて挨拶した。
「……昨日はどうも」
はにかんだ表情で、彼女は言った。
「いえ」
「あの、二日連続で見るなんて、アバター、大好きなんですか?」
館内では薄暗くて、わからなかったが、クリーム色のハット帽と、ロングスカートが似合う美しい女性だった。
つま先から頭のてっぺんまで、全身に電流が走った感覚がした。胸が異常に激しく鼓動し高鳴っていたが、意識は冷静だった。
――これか。
これがいわゆる「一目惚れ」とゆう現象だと確信した。
つづく
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