まとめ 1 曉月 ぎょうげつ


 夜明け前の空に、月が見えた。東の空は闇のままで、西の空は黒みが少しづつ抜けて、群青の空に変わりつつあった。ずいぶんと日の出は遅くなり、少し肌寒さを感じる季節になっていた。

 オレは車を飛ばし、彼女のもとへ向かっていた。道は空いていて、この時間帯の運転はいつもスムーズだ。交差点の赤信号で一時停車し、オレは考えていた。


「いったいスピリチュアルとは何なのだろうか? 」


 自分なりに考察を重ねてきたし、仲の良い友人にも彼女のことを相談した。


「その彼女とは、距離を置いた方がいいんじゃないか……」


 目を点にして友人の答えは一様に、そのようなものだった。


 オレは電話で彼女を起こし、15分後に着くと伝えた。彼女の家に到着すると、珍しく先に外に出て待っていた。


「ごきげんよう、平八郎さん」

「おう、行くか」


 彼女を助手席に乗せ、車を走らせた。





つづく






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