スピ系女子の考察の前に 3
「平八郎さん、もうすぐ秋分の日ね」
「なんか早いなー、お彼岸か」
オレはしみじみと感じた。あれだけ激しかった、セミの鳴き声はもう聞こえない。残暑の残滓すら、見つけられたかった。
「秋分の日は、昼と夜の長さが同じになるでしょう。陰陽のエネルギーが均等になるのよ。太陽と月のバランスの波動が、心身に伝導し、意識上昇のターニングポイントとなるわ。浄化よ! 浄化か!」
彼女のいつもの、スピリチュアル視点である。彼女は得意げでもなく、あのドンクリの女の子のような素直な面持ちだった。
「陰陽のエネルギー?」
「太陽と月のバランスの波動?」
「意識上昇のターニングポイント?」
――は???
オレには、全く理解できなかった。そしてオレは彼女の一見して奇怪とも思える、言動を研究し考察しようと決めていた。
ポケットから手帳を取り出し、こう書いた。
「スピ系女子の考察 1」
――こうして彼女の言動を、書きとめる日々が続いた。
つづく
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